Blog

ブログ

2026.08.25

勤務先の歯科医院が突然倒産したら?健康保険・失業手当・未払い給与はどうなる?

「勤務している歯科医院が明日突然閉院することになった」

もし、そんなことが起きたら、

「明日から健康保険はどうなるの?」
「次の就職先が決まるまで収入がなくなる?」
「失業保険はすぐにもらえる?」
「給料が支払われなかったらどうなる?」

と不安になるのは当然です。
しかし、日本には勤務先の倒産によって突然仕事を失った人を守るための制度があります。

今回は、歯科医院が突然倒産・閉院した場合の「健康保険」「年金」「失業給付」「未払い給与」について分かりやすく解説します。

まず確認!「社保完備」でも健康保険は2種類ある

歯科医院の場合、まず確認してほしいのが、自分が入っている健康保険です。
大きく分けると、

①協会けんぽなどの健康保険
②歯科医師国民健康保険(歯科医師国保)

があります。
「厚生年金に入っているから協会けんぽ」とは限りません。

歯科医院では、歯科医師国保+厚生年金という組み合わせもあります。

マイナポータルや「資格情報のお知らせ」などで、自分がどの健康保険に加入しているか確認しておきましょう。

協会けんぽなら「任意継続」ができる

勤務先で協会けんぽに加入していた場合、退職後も最長2年間、同じ健康保険を継続できる「任意継続」という制度があります。

条件は、

  • 退職日までに継続して2か月以上健康保険に加入している
  • 退職日の翌日から20日以内に申し込む

ことです。

ただし、退職後は医院が負担していた保険料も自分で負担するため、原則として在職中に給与から引かれていた健康保険料より高くなります。

そのため、

協会けんぽの任意継続 市区町村の国民健康保険 / 家族の健康保険の扶養

のどれが自分に合っているかを比較して選びます。

「一度任意継続にしたら2年間やめられない」という制度でもなく、現在は本人の申し出によって途中で資格を喪失することもできます。

歯科医師国保には基本的に「任意継続」はない

ここは歯科医院勤務の方が特に知っておきたいポイントです。

全国歯科医師国民健康保険組合では、勤務する従業員が退職した場合は資格喪失の手続きが必要とされています。
実際に歯科医師国保組合でも「国保には任意継続制度はなく、退職日の翌日が資格喪失日」と案内されています。

そのため、歯科医師国保に入っていた人が退職した場合は、原則として

市区町村の国民健康保険に加入する

または

家族の勤務先の健康保険の扶養に入る

などの手続きをします。

加入している歯科医師国保によって手続きが異なる場合がありますので、実際には加入している組合へ確認してください。

倒産なら失業保険は自己都合退職より早い

次に気になるのが失業保険です。

一般的な自己都合退職の場合、7日間の待期期間に加えて、原則1か月の給付制限があります。
一方、医院の倒産や事業所の廃止によって仕事を失った場合は、原則として「特定受給資格者」に該当します。
そのため自己都合退職のような給付制限はありません。

ただし、

「ハローワークへ行った8日後にお金が振り込まれる」という意味ではありません。

倒産の場合でも、ハローワークで離職票を提出して求職申込みをしたあと、まず7日間の待期期間があります。
その後、指定された失業認定日に失業状態が認定され、通常は認定日から5営業日ほどで基本手当が振り込まれます。

つまり、

と覚えておくとよいでしょう。

また、通常は雇用保険の加入期間が離職前2年間に12か月以上必要ですが、倒産などの特定受給資格者の場合は、離職前1年間に6か月以上あれば受給資格を満たす場合があります。

厚生年金は国民年金へ切り替える

次の勤務先がすぐに決まらない場合、20歳以上60歳未満の方は、原則として厚生年金から国民年金第1号被保険者への切替手続きが必要です。

ここでも「失業したのに年金まで払わなくてはいけないの?」と心配になる方がいるかもしれません。

失業・倒産などの場合には、国民年金保険料の免除・納付猶予を受けられる特例があります。
失業した本人については前年所得にかかわらず審査上の特例が設けられています。支払いが難しいからと放置するのではなく、市区町村や年金事務所で相談しましょう。

給料が未払いのまま倒産したら?

「最後の給料が振り込まれないまま医院が倒産したらどうなるの?」

これも心配になるところです。

一定の条件を満たした倒産では、国の**「未払賃金立替払制度」**を利用できる場合があります。

これは勤務先が倒産し、給与などを受け取れないまま退職した労働者に対して、国が未払い賃金の一部を立て替える制度です。

対象となる未払い賃金の80%相当額が支払われ、年齢に応じて上限があります。賞与は対象外です。

「医院が倒産したら未払い給与は全部諦めなければならない」というわけではありません。

この場合は労働基準監督署などへ相談します。

突然倒産したら、まずこの順番で動こう

医院が突然倒産した場合は、パニックになって一度にすべてを解決しようとする必要はありません。

まずは、

離職票や健康保険の資格喪失に必要な書類を確認

ハローワークで雇用保険の手続き

健康保険を任意継続・国保・家族の扶養などへ切り替える

必要なら国民年金の切替・免除申請

給与の未払いがあれば労働基準監督署へ相談

という順番で進めていけば大丈夫です。

「突然倒産=すぐに生活できなくなる」ではありません

勤務先の倒産はもちろん大きな出来事です。しかし、

日本には、勤務先の倒産によって突然職を失った人の生活を支える制度が複数用意されています。
特に歯科衛生士などの歯科医療職は、次の勤務先を探す際にも比較的求人の選択肢が多い職種です。

もし勤務先が突然閉院することになっても、

と必要以上に不安にならず、まずは自分が加入している健康保険を確認し、ハローワークや市区町村など必要な窓口へ順番に相談してください。

知っているだけでも、突然の出来事に対する不安はかなり小さくできます。

※本記事は2026年8月時点の公的制度をもとに一般的な内容をまとめたものです。加入している健康保険組合や雇用状況、倒産の状況などによって取り扱いが異なる場合があります。

著者プロフィール

株式会社グランジュテ
代表取締役 伊藤 祐子

シンガポール航空客室乗務員を経て、大規模医療法人の立ち上げ・組織構築に10年以上携わる。自費率7割の歯科医院体制を構築し、人材採用・組織づくりの実践経験をもとに、現在は歯科医院専門の採用支援を行う。2014年の創業以来、800医院以上の採用代行をサポート。

CONTACT

お問い合わせ

採用についてのご相談や、コンサルティング、セミナー、講演のご依頼等、フォームよりお気軽にお問い合わせください。

ページトップ